王と妃

2011年5月25日



まさに権力闘争に明け暮れる王室の内幕を
描くドラマ。捏造、冤罪、そして拷問による
自白がまかりとおってしまうって、どうなの?
しかしながら淡々と語られてゆく手法、そして
俳優さんの演技は文句なく素晴らしい。

「薯童謡」「朱蒙」などとは対照的に、民衆心理の描写などほとんどない。捏造、冤罪、そして拷問による自白、これらが正当化されてしまう展開。これらがもし事実(歴史書からの引用が良く出てきます)だとしても、私は見ていてあまり良い気分にはなりませんでした。
現在の韓国歴史劇はこういう力押し、勝てば官軍的傾向は少ない。やはり、悪事を働いた者には相応の結末が用意されるべきだと思う。
製作は1998~2000年で、この時期の韓国の製作側の姿勢というか作り方の風潮がうかがえます。良い悪いと言うよりは、そういう時代だったのだなと思います。

ただ、Reviewにあげるからには、好きだ、と思えたところがたくさんあるわけで。落ち着いた雰囲気で淡々と綴られてゆく手法は、魅力があります。それから俳優さんの演技は本当に素晴らしいので、是非注目下さい!序盤はイム・ドンジン、チョン・テウに引き込まれ、後半の主役はチェ・シラさん。
(イム・ドンジンチェ・シラはPersonへ)
このドラマの後半部分を描いているのが「王と私」。題名も似ていますね。

タイトル
王と妃 the King and the Queen
キャスト
世宗(セジョン)(朝鮮第4代国王、太宗の三男)・・・・ソン・ジェホ

讓寧(ヤンニョン)大君(世宗の兄、太宗の長男)・・・・・・シン・グ

文宗(ムンジョン)(朝鮮第5代国王、世宗の長男)・・・・・・チョン・ムソン

世祖(セジョ)、首陽大君(朝鮮第7代国王、世宗の次男)・・・・・イム・ドンジン

端宗(タンジョン)、魯山君(朝鮮第6代国王、文宗の長男)・・・・・・チョン・テウ

睿宗(イェジョン)、海陽大君(朝鮮第8代国王、世祖の次男)・・・・・・チュ・ミンジュン

成宗(ソンジョン)、者山君(朝鮮第9代国王、桃源君の次男)・・・・・・イ・ジヌ

燕山君(ヨンサングン)(朝鮮第10代国王、成宗の長男)・・・・・・アン・ジェモ

中宗(チュンジョン)、晋城大君(朝鮮第11代国王、成宗の次男)・・・・・・チェ・ウヒョク

恵嬪(ヘビン)ヤン氏(世宗の側室)・・・キム・ヘリ

淑嬪(スクビン)ホン氏(文宗の側室、恵嬪ヤン氏と対立)・・・・・・チャン・ソヒ

貞熹(チョンヒ)(王后ユン氏、世祖の妃、睿宗の母)・・・・・・ハン・ヘスク

仁粋(インス)大妃(昭恵王后ハン氏 成宗の母、桃源君の妻 )・・・・・・チェ・シラ

定順(ジョンスン)王后ソン氏(端宗の妃)・・・キム・ミンジョン

安順(アンスン)王后ハン氏(睿宗の妃)・・・キョン・インソン

恭恵(コンヘ)王后ハン氏(成宗の最初の妃)・・・シン・ジス

廃妃ユン氏(成宗の2番目の妃、燕山君の母)・・・キム・ソンリョン

貞顯(チョンヒョン)王后ユン氏(成宗の3番目の妃、中宗の母)・・・ユン・ジスク

シン氏(燕山君の妃)・・・イ・シネ

孝寧(ヒョリョン)大君(世宗の兄、太宗の次男)・・・キム・インテ

安平(アンピョン)大君(世宗の三男)・・・チョン・ソンモ

錦城(クムソン)大君(世宗の六男)・・・ウォン・ソギョン

桃源(トウォン)君(世祖の長男、成宗の父)・・・イ・グァンギ

月山(ウォルサン)君(桃源君の長男、成宗の兄) ・・・イ・ジュン

亀城(クソン)君(イミョン大君の息子)・・・ソン・ホソプ

ソン・ヒョンス(定順王后ソン氏の父)・・・キム・ソンオク

ハン・ミョンフェ(上党君、恭恵王后ハン氏の父)・・・・・・チェ・ジョンウォン

ミン氏(ハン・ミョンフェの妻)・・・キム・ソラ

ハン・ミョンフェの娘・・・カン・ギファ

ヒャンイ(ハン・ミョンフェの側女)・・・イ・ジウン

キム・ジョンソ・・・チョ・ギョンファン

ファンボ・イン・・・イ・シンジェ

ミン・シン・・・・・・キム・ジュヨン

クォン・ラム・・・キム・ガプス

シン・スクチュ・・・イ・ジョンギル

など・・

演出
キム・ジョンソン
脚本
チョン・ハヨン
製作
1998年~2000年 韓国 KBS
上映時間
全186話
韓国初回放送期間
1998年6月6日〜2000年3月26日

1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (まだ評価されていません)
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