ナウシカ、ワンピース、
など、歌舞伎が近年、アニメやコミックを題材に演じられていて、
いやすごい時代が来たなと思っていたのですが。
まさかゲームの世界まで、と驚いていました。
でも、なんでわざわざゲームなの、
さらにはFFなの、とも思っていました。
一般受けするアニメよりもさらに支持者は限定されます。
しかもFFはなかなか難しいゲームでもあります。
自分はFFが大好きで。特に10は、
生みの親と言われる坂口博信さんが関わった最後の作品であり、
仲間、家族、特に親子の絆の描写がとてもこちらに響いてくる物語です。
歌舞伎、僕は母親と一緒に観た滝沢秀明くんの滝沢歌舞伎以来でした。
母はタッキーの大ファンなものですから。
今回のFFⅩは。上演時間がなんと、前編3時間30分、後編3時間30分で合計7時間。
休憩時間も挟んで、昼の12時から夜9時までにわたります。
(そして本日、観劇を終えての感想です)
全体として、素晴らしく、何がかと具体的にいうと。
歌舞伎としての原則を保ちなたら、
限界まで原作の良さを表現し追求しようとする姿勢を感じました。
原作へのリスペクトを感じるのです。
アイデンティティを失わず挑戦しているところ、ここに大きな意味があります。
ゲームファンも、歌舞伎ファンも、大切にしている。
泣くのを我慢しようとは全く思っていませんでした。だってわかってましたもん。
一度物語を体験していれば、
ジェクトとアーロンとブラスカ。もうこの3人が出てくるだけで涙が出ます。
先人への敬意。もうそこなんです。
その上で、数ポイントだけ、批判いたします。
十分に上げてから、ちょい下げるだけなので許してください。原作が好きであるが故です。
楽曲の「OtherWorld」、使いすぎです。しかもアーロンの戦いの場面で使っています。
これは最終盤で、ジェクトとの決戦の時に流れる曲のため、なんか違うと思ってしまいました。
同じく楽曲の「シーモアバトル」、これもたくさん聴けて嬉しいのですが、やはりシーモアとの3回目の戦い(ゲームだと4回目ですね)のときだけにしてほしい気持ちです。あそこは明け方の薄明かりのような背景で行われる素敵なところ、本当に高揚する局面ですので。
そしてアーロンについてもう一つ。過去の場面の際、獅童さんが「私が祈り子になります」と言ってました。これはおかしいです。
脚本通りなのかそれとも獅童さんが間違えたのかわかりませんが、アーロンは祈り子自体に反対のはずです。無限の可能性にかけようと言っています。
でも中村獅童さんのアーロンは本当にイメージ通りでよかったです。自分がアーロン大好きだからこそあえて注文をつけました、すみません。
ユウナとリュックは、やはり声が違うと感じてしまいました。やっぱり青木まゆ子さんと松本まりかさんがいい。
でも声以外は大丈夫です。特にユウナの異界送りの踊りは最高に美しく、必見です。
男性が演じるため、男性キャラは原作にとても忠実。アーロン、ワッカ、キマリ、ティーダ。
女性キャラでも、ルールーの声質は、低いためなのか違和感なしです。
そして完璧だったのが、ユウナレスカ。もうそのまんまで圧巻でした。もちろん当然ですが露出は控えめです。ヘルバイターをたくさんの蛇で表していたのもすごかったです。
「あんたが親父で、よかった」。このおなじみの素晴らしい台詞が聴けて、よかった!
観劇後に知ったのですが、主演の尾上菊之助さんはFFⅩが大好きで、ご自分で企画なさり、スクウェアエニックスに持ちかけたとか。これを聞いて自分は大変に嬉しく感じました。歌舞伎界の中心にいらっしゃるからこそ、成し得た事です。もう本当にユウナのセリフでもありますがまさに、ありがとう、です。
12:00から21:00まで、数回の休憩を挟んで約7時間の長編。でもあっという間です。
自分は本日3/26に、前半後半と、通しで観ました。
上演は3/4から始まっていて、4/12水曜まで。
まだ2週間半あります。
ぜひともゲームファン、歌舞伎ファンの皆さん、そしてそれ以外の皆さんも、
おすすめです。
きっと良い一日になります!