ファイナルファンタジーⅩ歌舞伎

2023年3月26日


ナウシカ、ワンピース、
など、歌舞伎が近年、アニメやコミックを題材に演じられていて、
いやすごい時代が来たなと思っていたのですが。
まさかゲームの世界まで、と驚いていました。

でも、なんでわざわざゲームなの、
さらにはFFなの、とも思っていました。
一般受けするアニメよりもさらに支持者は限定されます。
しかもFFはなかなか難しいゲームでもあります。

自分はFFが大好きで。特に10は、
生みの親と言われる坂口博信さんが関わった最後の作品であり、
仲間、家族、特に親子の絆の描写がとてもこちらに響いてくる物語です。

歌舞伎、僕は母親と一緒に観た滝沢秀明くんの滝沢歌舞伎以来でした。
母はタッキーの大ファンなものですから。

今回のFFⅩは。上演時間がなんと、前編3時間30分、後編3時間30分で合計7時間。
休憩時間も挟んで、昼の12時から夜9時までにわたります。




(そして本日、観劇を終えての感想です)

全体として、素晴らしく、何がかと具体的にいうと。
歌舞伎としての原則を保ちなたら、
限界まで原作の良さを表現し追求しようとする姿勢を感じました。
原作へのリスペクトを感じるのです。
アイデンティティを失わず挑戦しているところ、ここに大きな意味があります。
ゲームファンも、歌舞伎ファンも、大切にしている。


泣くのを我慢しようとは全く思っていませんでした。だってわかってましたもん。
一度物語を体験していれば、
ジェクトとアーロンとブラスカ。もうこの3人が出てくるだけで涙が出ます。
先人への敬意。もうそこなんです。


その上で、数ポイントだけ、批判いたします。
十分に上げてから、ちょい下げるだけなので許してください。原作が好きであるが故です。
楽曲の「OtherWorld」、使いすぎです。しかもアーロンの戦いの場面で使っています。
これは最終盤で、ジェクトとの決戦の時に流れる曲のため、なんか違うと思ってしまいました。
同じく楽曲の「シーモアバトル」、これもたくさん聴けて嬉しいのですが、やはりシーモアとの3回目の戦い(ゲームだと4回目ですね)のときだけにしてほしい気持ちです。あそこは明け方の薄明かりのような背景で行われる素敵なところ、本当に高揚する局面ですので。
そしてアーロンについてもう一つ。過去の場面の際、獅童さんが「私が祈り子になります」と言ってました。これはおかしいです。
脚本通りなのかそれとも獅童さんが間違えたのかわかりませんが、アーロンは祈り子自体に反対のはずです。無限の可能性にかけようと言っています。
でも中村獅童さんのアーロンは本当にイメージ通りでよかったです。自分がアーロン大好きだからこそあえて注文をつけました、すみません。
ユウナとリュックは、やはり声が違うと感じてしまいました。やっぱり青木まゆ子さんと松本まりかさんがいい。
でも声以外は大丈夫です。特にユウナの異界送りの踊りは最高に美しく、必見です。
男性が演じるため、男性キャラは原作にとても忠実。アーロン、ワッカ、キマリ、ティーダ。
女性キャラでも、ルールーの声質は、低いためなのか違和感なしです。
そして完璧だったのが、ユウナレスカ。もうそのまんまで圧巻でした。もちろん当然ですが露出は控えめです。ヘルバイターをたくさんの蛇で表していたのもすごかったです。

「あんたが親父で、よかった」。このおなじみの素晴らしい台詞が聴けて、よかった!

観劇後に知ったのですが、主演の尾上菊之助さんはFFⅩが大好きで、ご自分で企画なさり、スクウェアエニックスに持ちかけたとか。これを聞いて自分は大変に嬉しく感じました。歌舞伎界の中心にいらっしゃるからこそ、成し得た事です。もう本当にユウナのセリフでもありますがまさに、ありがとう、です。



12:00から21:00まで、数回の休憩を挟んで約7時間の長編。でもあっという間です。
自分は本日3/26に、前半後半と、通しで観ました。
上演は3/4から始まっていて、4/12水曜まで。
まだ2週間半あります。
ぜひともゲームファン、歌舞伎ファンの皆さん、そしてそれ以外の皆さんも、
おすすめです。
きっと良い一日になります!

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